『フロム・ヘル』上・下/アラン・ムーア&エディ・キャンベル
『フロム・ヘル(上)
『フロム・ヘル(下)
アラン・ムーア (著)/エディ・キャンベル (イラスト)/柳下 毅一郎 (翻訳)
19世紀ロンドン。
素人画家エディのアトリエから愛人と子供がさらわれる。
そして町には切り裂きジャックが…。
切り裂きジャック(ホワイトチャペル連続殺人)事件を扱ったグラフィック・ノベル=マンガ。
Amazonの商品説明には「ノンフィクション・ノベルに奇想をはめこんだような巧妙なプロットに、作者の本領たるダイナミックな構成力、奥行きのある世界観・人間観が活かされている。丹念に再現されたヴィクトリア朝末期の英国社会に、いくつもの象徴が生み出す複雑な磁場がはりめぐらされる。小説的な読み心地と鮮烈な絵の力を兼ね備え、サスペンスとイリュージョンに満ちた、無類のエンターテインメント。鬼才として知られるコミック原作者によるグラフィック・ノベルの傑作。 」とあります。
海外のマンガって、日本の「漫画」とだいぶ違うんですよね~ というのは分かった上で読み始めたつもりだったのですが、やはりと言うか何というか、最初は取っつきにくかったです。上巻の1/3くらいで俄然面白くなってきて、あとは夢中で読みましたが

最初、取っつきにくかった原因と思われること:
①様々な要素が渦を巻く壮大な物語であり、最初の方はその「様々な要素」の「断片」が提示されるため「???」となってしまった。
②絵が「外国の漫画」なこともあると思うんですが、線が粗いと言うか何というか、人物の区別がつきにくく「ん?これ誰だっけ?」となってしまった。遠景だと顔なんか影ですし。名前の出し方なんかも、日本の漫画の方が親切ですよね…
③下巻の最後に「補遺」があり、描かれているエピソードの出典等が示されているんですが、(つまりこの作品は、史実にかなり忠実だということです)、それを読むまで意味が分からなかったことがあった。例えば第四章にアリックスという女性が出て来るんですが、それがアレクサンドラ王女のことだということ、私は補遺を読むまで全然分かりませんでした。
内容についてのメモ&感想。
プリンス・エディ(アルバート)とアニー・クルック。
協力者のシッカート、メアリー・ケリー。
ヴィクトリア女王。ガイズの気狂い病院。
ホークスモア(建築家)の教会群。
フリーメイソンとガル医師。御者のネトリー。
イーストエンドの酒場、「ブリタニア」。
そこに集う娼婦たち。メアリー・ケリー、アニー、ポリー、リズ。
みかじめ料を請求するオールド・ニコル一味。
(みかじめ料を増やさないとアソコにナイフをブチ込むぞ)。
アニーの娘、アリスを引き取ったアリスの祖父母(アニーの両親)が、アリスを「娘」として引き取る「理由」がけっこう衝撃でした!(話にはあまり関係ないんですが)。
あと、娼婦たちが「細い路地でつながった裏庭」(補遺より)で「商売」していたというのもビックリ。なるほど、それなら部屋代がいらないですもんね…。彼女たちの「テクニック」も

ちなみに「補遺Ⅱ」は切り裂きジャック伝説と、犯人捜しに取り憑かれた人々の物語。というか、考察? (漫画)。これまた面白いです! (カモメ捕りのダンス。カモメ=ガル。カモメ捕り=ぺてん師)。

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