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すー日記別館: 読書記録 乱読の記録です。

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『届かなかった手紙』クレスマン・テイラー

 

『届かなかった手紙』
クレスマン・テイラー/北代美和子・訳
Address Unknown by Kressmann Tylor


サンフランシスコで画廊を営むユダヤ系アメリカ人と、ドイツに帰国した共同経営者との間で交わされた往復書簡。という形式の中編小説です。1939年の『ストーリー』誌に掲載され、大きな反響を呼んだ小説とのこと。

最初の手紙は1932年11月12日、サンフランシスコのマックス・アイゼンシュタイン氏(ユダヤ系)から、ミュンヘンのマルティン・シュルセ氏(ドイツ人)への「ドイツ帰国おめでとう!」の手紙。

解説(ドイツ文学者・池内 紀 -おさむ-さん)によると、ドイツではこの年(1932年)、4月の大統領選でヒンデンブルクが再選。アドルフ・ヒトラーが次点にのしあがり、同年7月には総選挙でナチス党が第1党に。翌1933年7月にはナチ党以外の政党が禁止され、ナチスの一党独裁が完成しているとのこと。

そんな状況のなか交わされる手紙。

最初は近況報告。家族ぐるみのつきあいだった友人同士が、相手を懐かしみ思いやる。しかしドイツから届く手紙のトーンが、少しずつ変わっていく。独裁者礼賛へ。ユダヤ人駆逐は仕方のないこと。それを友(…と、彼は既に呼ばないが)に告げる男。もう手紙は寄越さないでくれ。

ユダヤ人、マックスは手紙を出し続ける。しかし彼の手紙もまた、以前とは趣を変えていく。ある「事件」をきっかけに。

最後は「転居先不明(Adress Unknown)」のスタンプが押された手紙。
それが意味することとは…。

ごくごく短い小説(日本語版で、解説まで入れて102ページ)ですが、ずっしりと重いお話。鳥肌が立ちました!

書簡文学の力を思い知るようでした。
サンタクロースっているんでしょうか?』と並ぶすばらしさだと思います。(内容が全然違いますが^^;)

しかし! どういうわけか、アマゾンにも楽天にも、この本、在庫がありません。アマゾンは中古すらヒットしない。どこかの“元少年”犯罪者の手記が売れて、こういう良質な書籍が姿を消すって、日本は大丈夫なのでしょうか。(って、私も図書館で借りたので大きな事は言えないのですが… ぜひ全国の図書館で読み継がれて欲しいです!)



アマゾンはキンドルの英語版だけありました~ 
   ↓



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