
『バガージマヌパナス』池上永一19歳の綾乃は島での楽園生活を満喫し、大親友のオバァ、オージャーガンマーと遊び暮らす日日。しかしある日夢の中に神様が現れ、ユタ(巫女)になれと命じる。「あーっワジワジーッ」徹底抗戦の構えの綾乃だったが、怒った神様の罰もあり、やがてユタへの道を歩むことに…。溢れる方言と三線の音、抜けるような空に映える極彩色、豊かな伝承と横溢する感情。沖縄が生んだ不世出の才能の記念碑的デビュー作。(Amazonの商品説明)
沖縄の言葉がたくさん出て来て面白いです☆
ユンタク=おしゃべり
ワジワジーッ=不愉快だわ
オージャーガンマー=大謝家の次女
オージャーホンマー=大謝家の長女
…などなど。
綾乃という“日本的”な名前は、祖母が日本(ヤマト)に出ても恥ずかしくないようにとつけてくれたものとのこと。
彼女は気ままな島の暮らしを満喫し、都会かぶれの同級生たちを嫌い、「日本人は自分たちの通念が最高のものだと信じている。まるでここを発展途上島のようになかば見下して、親切を装って何だかんだと押しつけることしかしない。お蔭でこの島も随分と住みづらくなってきた。どうか私たちのことは見捨ててください」(本文より)と思っている。
とても共感しますし、島の時間感覚で、その自然のままで、生きていける人たちに産業だの経済感覚だのを持ち込もうとするのは、バカみたいだと私も思います。
ただ、「寝たければどこでも寝ていい。食べたければ熱帯果樹から必要なだけ取ればいい。お金のかからない、永遠の楽園なのだ」(本文より) という果物の出どころが、別のページでは、どこかの果樹園から盗んでくること、だったりするので、すごく不思議というか、何というか

変わり者の綾乃と、変わり者の老婆の友情。
綾乃をユタにしたい神様と、綾乃の攻防。(!!)
ユタ業界を独占したい守銭奴なユタ、カニメガと綾乃の戦い(?)。
私は、綾乃とオージャーガンマーの自堕落生活描写に入り込めなかったり、2人の破天荒さに ついていきにくかったのですが、(市場で車を暴走するシーンとか、ただの乱暴者では…?) でも綾乃が変わっていくあたりからは、すっごく面白かったです。
ユタという才能も、大変そうですよねぇ。
そして、メチャクチャ人間的な神様たち、いいですねぇ~

私は図書館から単行本を借りて読んだので『バガージマヌパナス』というタイトルでしたが、文庫版は
『バガージマヌパナス わが島のはなし』というタイトルになっているようです





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