忍者ブログ

すー日記別館: 読書記録 乱読の記録です。

RSS TWITTER RssTwitter

『父 Mon Père』辻 仁成  


父 Mon Père』辻 仁成

ぼくはパパに育てられた。パリで生まれたぼくは、ママを失った後、パパと二人で生きてきた。大人になったぼくは、恋人と共に、パパたちの物語と自らの未来に向き合っていく。フランスで子育てをする著者が描く、家族と愛をめぐる運命的な長編小説。 (Amazonの商品説明より)

まさに今、フランスで、父親として子育てをしている辻仁成さんが、息子の立場で描く小説。「すばる」に掲載された「ぼくの父さん Mon Père」から改題とのことです。

息子:澤凪充路(ジュール)、父:泰治、亡き母:葉子。
ジュールの恋人:リリー。その母:ミェン・チャン(勉江)。

運命かぁ… すごいなぁ…
パパと勉江の筆談の交流が、とてもよかったです。


このパパには一過性全健忘症の症状が出ていて、時折、自分が誰で どこにいるのか、どうやったら家に帰れるのか家がどこなのか、分からなくなってしまいます。でも息子の記憶だけは失わないようで、困って電話をかけてきて、そのたびにジュールは駆けつける。デート中でも、仕事中でも。

少し前に観たフランス映画『未来よ こんにちは』にも そんな状況が登場していましたが、(そちらは母と娘)、フランスの「子供」というものは、仕事中でも「迷子の親」を探しに駆けつけるものなのでしょうか…? いえ、それが初めてなら分かるんですが、何度も続き、これからも あることが明白なのに、「そろそろ仕事がマズいかも」という状況でも駆けつけ続け、ついには「本当にクビになりそう」になっちゃうのって、非常に問題なのでは…。


コロンビア移民の家政婦パオラの家族が、本人以外、全員がサンパピエ(不法滞在者)とか、テロを避けるには人込みを避けるしかない、みたいなことが出てきたり、今のフランスの問題(というか何というか)も散りばめられ、そういう意味でも非常に興味深く読みました。

と同時に、(ちょっとネタバレかもしれませんが)、パパがイネス(パオラの親戚の娘)にお金を盗まれた! と騒いだ時に、息子が完全にパパを信じてしまうあたり、辻仁成さんは、周囲に認知症の人がいない状況で これまで暮らしていらっしゃったんだろうなぁと思いました。認知症の症状として「盗まれた」という発言が出ること、日本だと けっこう有名ですし、自分の家族なり知り合いのご家族の話として、そういう話、割とよく耳にしますよね。(だから読んでいて、「ダメだよ、そこで健忘症のパパを信じちゃ!!」と、ちょっと歯がゆい思いをしましたemoji)

とまあ、そんなこんなで、いろいろ考えさせられる小説でした。

ジュールとパパ、リリー、その家族も幸せでありますように!

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

   

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

拍手[0回]

PR
Comment
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメントの修正にはpasswordが必要です。任意の英数字を入力して下さい。