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すー日記別館: 読書記録 乱読の記録です。

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『声のお仕事』川端 裕人


声のお仕事
川端 裕人

「声で世界を変えてやる!」崖っぷち声優の、大きすぎる野望は叶うのか!?

二十代後半、いまだ目立った実績のない声優の結城勇樹。
背水の陣で挑んだ野球アニメ「センターライン」のオーディションで
ついにレギュラーを摑むが、その役は……なんと犬!?

誰もが身近に感じながらも、知らないことの多い声優の世界に光をあてた、
リアリティたっぷり、胸が熱くなるお仕事小説です。

(Amazonの商品説明より)



面白かったです!!!!!

声優さんのお話で、主人公の成長物語というか、主人公がオロオロしながら見回す、まわりの人たちの物語という感じ。(あくまで私の印象ですが)。

この小説で描かれているのは「邦画アニメの声優さんの世界&現場」で、外画の吹替えのことは言葉で1回出てくる程度ですが、吹替え翻訳のお仕事でアフレコ現場を経験している身としては、何というか、思うところがたくさん。

こんな風に、熱く、自分を懸けてお仕事している声優さんたちが読むためのセリフを自分が作っていたって、振り返ると恐ろしく思えるほどです。(そりゃあもちろん、翻訳者だって、その翻訳物に自分と将来を毎回、懸けているわけですが)。


以下、自分の話。
(本を読みながら思いだしたこと)。

あるアニメシリーズ(外画)の吹替えのお仕事で、「これがデビュー」という声優さんがいらっしゃり、やっぱり、「居残り」ならぬ「早入り」で特訓が行われていました。プロデューサーさん・ミキサーさん・制作さんと一緒に早出で練習。(翻訳者は来なくていいと言われたので私は参加せず)。…お元気でご活躍かなぁ。私も新人に毛が生えた程度での参加だったので、勝手に親近感。ずっと応援しています☆

マイクアクションも、話者の入れ代わりが激しいと、ぶつかりそうになったり、たまーーーに、していましたねー。(これは新人さんに限らず)。「リハこっちでしたが、変えて こっちのマイクに入ります!」と申告があったり。

そうそう、小説に出てきたのと同じ「犬」の役があったことが、ありました!
MEに入っている箇所もあったんですが、ない箇所があったり、プラスアルファで入れようということになり、別の役の役者さんが担当に。表情豊かな「犬の声」で面白かったなぁ~ (わたしは調整室で大爆笑でした!)

小説では収録ブースの中が描かれていますが、私がいたのはガラスを挟んだ調整室の方。自分が書いたセリフを、言いにくそうな役者さんがいらっしゃって恐縮したり、「このセリフが、こんな風に読まれるのか!」と、解釈や表現力に感動したり。

何度かリテイクして、「何番目のを使いましょう」とか、「何ページのセリフは何回目のリテイクに変更し、ここはリハの録音を使用で」とか指示していくディレクターさんも すごい… と思ったものでした。すごい耳、記憶力、集中力。ほんの少しの違いでリテイクの演技を変えていく役者さんたちも驚異的でした…。


小説より引用。

「崖っぷちという言葉があります。もうギリギリで、危険な状態。でも、崖に立つと風が必ず吹き上げている。飛ぼうと思えば飛べるのよ。飛ばないのは臆病者。けれど、翼を持たず、風を受ける技術も持たずに飛ぼうとするのはただの蛮勇。境目はどこにあるのかしらね。でも、わたしは確信しました。その境目を越えたんだと」

(主人公ゆうき君のバイト先、ウオ店長の言葉)


…いろいろ沁みました。

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ところで、この小説、かなり軽めだったので、「ラノベ?」と思っていたら、初出は「オール読物」。筆者の川端裕人(かわばたひろと)さんは、東大出身、日テレで科学技術庁・気象庁などの担当記者を経て小説家デビューだそうです。すっごい!

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