『ふる』西加奈子
『ふる』西加奈子
池井戸花(か)しす、二十八歳。職業はアダルトビデオへのモザイクがけ、趣味はICレコーダーでの隠し録り。「いつだってオチでいたい」と望み、過去を愛おしみ、誰の感情も害さないことにひっそり全力を注ぐ毎日だった。だがそんな彼女に訪れた変化とは―。過去、現在、そして未来が、新しい「今」とつながる、奇跡の物語。(文庫裏の紹介)
↓あとがきより↓
「この作品を書いている間、私はとてもふわふわしていた。
浮き足だっていたとか、心ここにあらず、というような意味のふわふわではなく、なんだろう、タイトルのように、ふってきた何かを必死で受け取っているような、そんな執筆期間だった。」
「つまり、「それ」が何かを、ちっとも説明出来なかった。ただ書きたいという想いだけがあった。」
「今回改めて「ふる」を読み返してみて、私は「いのち」のことを書きたかったのだなと思った。全部であり、全部の一部に過ぎない「いのち」を、「いのち」の予感を孕(はら)んだ女性器とより合わせて書きたかったのだ。」
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初・西加奈子さんでした!
ウェブデザインを手がける会社で、外国の「男女がまぐわっている動画」の作品紹介用に、女優の性器の部分にモザイクをかける仕事をしている「花しす」。の、今と過去、白いふわふわと新田人生。
人生における「人との関わり」、覚えていること・忘れてしまうこと、今の自分を作っている「過去の記憶」。
過去と現在が交互に(とは限りませんが)登場する感じ、繋がりがあるような ないような感じ、とても好きなんですが、最後の部分で、根幹からの共感というまでの感覚がなかったです。私は。これって、自分の中のどこかと、感覚的に ピタっと繋がったら、カタルシスなんじゃないかしら? (どうなんでしょう…)。でも興味深い小説でした。
西加奈子さん、また読んでみようっと。

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